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Just a minute! [フォノグラム時代]

『 Just a minute! 時を止めて 』
作詞作曲:沢田聖子 編曲:渡辺博也

1984年5月21日、8枚目のオリジナルアルバム 『 風の予感 』 収録。
1曲目の 『 夏頃咲き頃Lady 』 と共に、最も沢田聖子らしくない楽曲の一つ。

アルバムのトータルバランスだけで持って来たとしか思えない…
どう受け止めて良いのか…
まだ若かったファンはみんな、戸惑った。

デビュー5周年のこの年、否が応でもファンの期待が高まっていた年。

アルバムにも収録され、先行発売となったシングル 『 都会人 』
当時最大の売れっ子作詞家だった売野雅勇氏を大抜擢。

レコード会社が社運をかけているのでは…
と思うほどのセールスプロモーション。
本気で大ヒットを狙った1曲。

デビュー日の4日前にリリースされたオリジナルアルバム。
ファンは、5周年の記念アルバムになると思っていた 『 風の予感 』

この年の7月25日に、ツアー真っ最中にリリースされた 『 INGENUE 』。
このスペシャルミニアルバム、9枚目のオリジナルアルバムが
実質的な5周年記念アルバムになったものの…

このアルバムに収録するために書き下ろした聖子さんの楽曲は、
制作サイドが描いていたイメージと異なっていたため、
ほとんどがボツとなり、職業作家陣の楽曲に差し替えられた。


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デビュー5周年記念より、シングルヒットに重きを置いていた1984年。
沢田聖子さんもファンも、蚊帳の外だったアニバーサリーイヤー。

全10曲収録のオリジナルアルバム 『 風の予感 』
沢田聖子さんのオリジナル楽曲は、たった2曲。

そしてこの年、1年を通じて発表された楽曲は18曲。
そのうち沢田聖子さんが手がけた楽曲は、たった6曲。

これほどオリジナル楽曲が少ないアルバム、
オリジナル楽曲の比率が少ない年は、後にも先にもこの年だけ。

初めてのアニバーサリーイヤーだった1984年の、この年だけ。

完成度としては、決して悪くない 『 風の予感 』
全アルバムを通じて、ファンの評価も低かった 『 風の予感 』

そのアルバムの中でも、さらに陽の目を見ることのなかった1曲。

止まったままの" 時 " …。

あの時のまま、動いていない 『 Just a minute! 時を止めて 』

セルフカバーアルバム第2弾の収録曲の1曲として、
新たに生まれ変わる 『 Just a minute! 時を止めて 』

止まった時が…

再び動き出す。







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スクラッチ・ノイズ [フォノグラム時代]

『 スクラッチ・ノイズ 』
作詞作曲:西岡たかし 編曲:渡辺博也

1985年12月1日、12枚目のオリジナルアルバム 『 夢のかたち 』 収録。
同日、13枚目のシングルとして 『 風色のチャンス 』 をシングルカット。

全収録曲を手掛けた前作 『 Potential 』 からステップアップし、
沢田聖子本来の落ち着きを取り戻した、秀作アルバム。

前年のビデオクリップや写真集、ベストアルバムのリリースに
大はしゃぎしたファンの昂った想いを…
まるで静めるように…。

  「 ほんとの私は、ここにいるよ… 」

  「お願い…気がついて…」

と…ささやくように。


引き返すことのできない自らのアーティスト人生、
シンガーソングライターとしての想いを綴った 『 小さな船 』。
ステージとファンへの想いを込めた 『 Don't forget forever 』。

おぼろげながら、当時の " 夢 " を一つの形にした1枚。

アルバムタイトルが楽曲として存在しない、
初めてのオリジナルアルバム 『 夢のかたち 』。

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全10曲収録のアルバムの9曲目。
自作楽曲ではないため、ややもすれば見落とされがちな楽曲。

西岡たかし氏特有の、ノスタルジー溢れる詩とメロディ。
レコード盤のスクラッチノイズに、消え失せて行く想いを重ね合わせて…。

西岡たかし氏もステージで時折唄う楽曲で、
オリジナルは最後のリフレインの歌詞が一部異なる。

   ~ 今日からの ニュー・ストーリー 思い出 にと 仕上げてみたい ~

独立後、西岡たかし氏のオリジナルの歌詞でステージにて披露。

   ~ 今日からの ニュー・ストーリー しあわせ にと 仕上げてみたい ~


独立後の自分の人生と重ね合わせるように…。

今日からのニュー・ストーリーは…

それまでの 思い出 を仕上げるのではなく…

これからの しあわせ を仕上げるために。


しあわせ を探すための…

はじめの一歩に。


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独りぼっちの終局 [フォノグラム時代]

『 独りぼっちの終局 (カタストロフィー) 』
作詞作曲:沢田聖子 編曲:渡辺博也

1983年11月21日、10枚目のシングル
『 季節 ~シーズン~ 』 のC/Wとして収録。

旧クラウン時代から、シングルのB面は必ず自作楽曲だった頃…
ファンにとってシングルのB面は、聖子さんのオリジナル楽曲として
大切に大切に聴きこんだ名曲ばかりだった頃…。

1982年にリリースされた初のスマッシュヒット『 卒業 』。

その追い風に乗ってリリースされた8枚目のシングル
『 あなたへのバースディ・カード 』。
故・加藤和彦さん・安井かずみさんのヒットメーカーによる
軽快なリズムとメロディ、アレンジによるシングル向きの1曲。

そしてこのシングルのB面 『 ひとりぼっちの昼下がり 』 は
A面と同じ加藤・安井コンビによる楽曲になった。

" シングルB面は沢田聖子のオリジナル "

の方程式が崩れた時…。

続くクラウン時代最後のシングル 『 ドール・ハウス 』 では、
9枚のシングルメドレー 『 SHOCKING SHOKO 9 』 がB面に。

2枚続いてB面にオリジナル楽曲が収録されず、
当時のファンの落胆は測り知れず…。


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日本フォノグラム移籍後の初のシングル『 季節 ~シーズン~ 』。
そのB面には、再び自身のオリジナル楽曲『 独りぼっちの終局 』が収録。

同時発売されたオリジナルアルバム『 ターニング・ポイント 』
の収録曲をものともせず、隠れた名曲として絶賛の嵐だった
『 独りぼっちの終局 』。

それまでになかった沢田聖子の"女"としての本音と、
恋愛と失恋に真正面から向き合う"女"を隠すことなく…。
強がりともろさ、そして痛みを抱えた、生身の女としての自分を…。

まるで…
アーティストとしての意地を見せつけるように…
それまで創られたイメージに反発するように…

「これならどうだ!」

と初めてアーティストとしての意地を見せたB面の1曲。

皮肉にも思える…
" ひとりぼっち " と " 独りぼっち "

そしてそのアーティストとしての意地は…
1年後のシングルA面『 あなたからF.O. 』に…。

フォノグラム時代最高の名曲へと…



初めてファンの前に…
1人の女性としての本音を見せた…

初めて…
女として見ることに抵抗感がなくなった…

『 独りぼっちの終局 』


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今再びの " Potential " [フォノグラム時代]

1985年2月21日。
10枚目のオリジナルアルバム 『 Potential 』 をリリースし、
同年4月1日、同タイトルの初の写真集とビデオクリップを発売。
「Potential 3点セット」と呼ばれ、当時のファンの必須アイテムだった。

この時代、女性シンガーソングライターとしては例のないビデオクリップ。
ファンのみならず、ニューミュージック界の注目と話題をかっさらった。

ただ当時のレコード会社のヒット曲を狙った企画の一つでもあったため、
後年はあまり取り上げられることが少なくなったビデオと写真集。

ステージでも 「 若気の至り 」 「 当時の大人にだまされた 」 と語り、
「 持っている人は、没収します 」 とまで語る聖子さん。

そんな聖子さんにファンは合わせるように…
本人の前でのビデオクリップの話題は、ご法度となった。

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ここ1年ほど前からか…
沢田聖子さんの 『 Potential 』 への語り口が少し変わってきた。
「大人にだまされた」といつものように笑いながら語るものの、
今までとは違う、頭ごなしに否定しているわけではない語り口に…。

35周年企画の一つとして構想中のDVDの話題になると
「今度は浜辺を走ったり、貝殻の匂いを嗅いだりしないよ」
と懐かしそうに、照れくさそうに笑いながら…。

そして、『 Potential 』 の話題になると…
「あの時の私を、映像で残しておいてよかった…と思う…」
と語る時が…。

イルカオフィス時代はほとんど映像を残しておらず、
SMC時代の記録映像も、独立した今では手元になく…。

これまでシンガー・ソングライターとして歩いてきた自分の軌跡を
形で残しておきたいと思うのは、人として当たり前のこと…。
背を向けてきた過去の記録も、今では大切な想い出の一つ。

ファンも、どこか後ろめたい気持ちで観てきた 『 Potential 』
はしゃいでいたあの頃まで否定しているような…
あの時代に、何かを置き忘れてきたようで…。

けれども、ファンにとってもやはり大切な想い出の時代。
誰に臆することも隠すこともない、この世に二つとない宝物。

沢田聖子さんの " Potential " を信じて、一緒に走ってきた道のり。

沢田聖子の " Potential " は、50代になった今も、計り知れない。

今また、沢田聖子さんの " Potential " を信じて…。




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切ない夜にささやかないで [フォノグラム時代]

『 切ない夜にささやかないで 』
作詞:佐藤純子 作曲:沢田聖子 編曲:渡辺博也

1985年12月1日、12枚目のオリジナルアルバム 『 夢のかたち 』 収録。
アルバムのみならず、フォノグラム時代でも屈指の切ないラヴバラード。
取り上げられる機会も多くはなく、ステージで唄う機会も少ない楽曲ながら、
密かに支持するファンは多く、隠れた名曲の一つ。

作詞の佐藤純子さんは、80年代の女性シンガーの作詞を幅広く手掛け、
ニューミュージックからアイドルまで300曲以上の作品を提供している。
90年代には英国に移住し、作詞の仕事を続ける傍ら、写真家としての活動も始める。

現在も、沢田聖子さんのライヴ会場に時折姿を見せる佐藤純子さんは
独特の世界観を持った作詞家で、綴られた詩の意味するものは深い…。
その込められた想いは、生半可ではない…。

日本での作詞家としてご活躍された8年間に、8曲の作品を沢田聖子さんに提供し、
いずれの作品も他に類を見ないフレーズが眩い輝きを放つ。


1984年 『 INGENUE 』 収録:『 今夜の靴は踏みはずして 』
1985年 『 Potential 』 収録:『 上着とテレフォン 』
1985年 『 Potential 』 収録:『 Daddy's photograph 』
1985年 『 夢のかたち 』 収録:『 切ない夜にささやかないで 』
1985年 『 風色のチャンス 』 C/W:『 Non Stop Elevator 』
1986年 『 TOO TOO 』 収録:『 Summer Eve ~真夏を待つように 』
1986年 『 TOO TOO 』 収録:『 ラスト・オーダー 』
1991年 『 Acoustic Summer 』 収録: 『 少しの後悔 沢山の涙 』


淡い恋心から、ピンボールのような恋の時代…

そして、偲ぶ想いに至るまで…

それはまるで…

まるで…。


      IMG_4342.JPG


リリース当時から女性の支持が圧倒的に高かった 『 切ない夜にささやかないで 』

その切ない想いは、命までを削っているのではないかと思うほどの…
それまでにはなかった、研ぎ澄まされた鋭い刃物のような…
微かに震える切っ先を突きつけているような…。

20代前半の、この時期にしか見られない沢田聖子さん。

少しづつ遠ざかって行く、大人びた後姿…

手のひらから、スッ…とすり抜けてしまう…

誰も寄せ付けない…


そっとしといて…

そっとしといて…と。



佐藤純子さんの綴る唄は、まるで…

まるでその時代の、沢田聖子さんをそのまま映し出しているようで…


迷宮の入り口で佇む貴女は…


ほっとかないで…

ほっとかないで…と。





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