ＩＮＧＥＮＵＥ [フォノグラム時代]
『ＩＮＧＥＮＵＥ』 （アンジェーヌ）
１９８４年７月２５日 ７枚目のオリジナルアルバムとしてリリース。
１曲目のインストロメンタルを含め、全６曲入りのミニ・アルバム。
"サマー・スペシャル・ミニ・アルバム" と銘打ったこのアルバムは、小さな宝石箱のような、今も光り輝く名盤の一つ。
前作『風の予感』からわずか２ヶ月後、デビュー５周年全国ツアー真っ最中のリリースという、後にも先にも例のない破格の待遇、沢田聖子への期待の大きさを見せつけられた時だった。
「５ＴＨ ＡＮＮＩＶＥＲＳＡＲＹコンサート」を締めくくる三大都市でのコンサートが、７月２３日：大阪厚生年金会館、７月２５日：名古屋市公会堂、７月２９日：日比谷野外音楽堂
千秋楽のビックイベント"日比谷野音"に照準を合わせてのリリースという、度肝を抜いたスケジューリングだったことがわかります。
日比谷野音のコンサートでのアンコール最後の曲は、このアルバムの最後に収められているタイトル曲『アンジェーヌ』。
真夏の日が沈み、スポットライトに照らされたステージ、暗闇の中に浮かび上がる聖子さんの姿を見つめながら、総立ちのまま聴いた『アンジェーヌ』。
ジャケットのイラストは、当時ペンケース等の文具などで女性に人気のあった、今で言う"デザイン・ステーショナリー"。
イラストの女の子が沢田聖子のイメージにぴったり、と言う発想からのタイアップだった。
視覚的なアピールを意識した販売戦略の始まりで、それまでの沢田聖子のイメージも崩さずに…という配慮も見られた１枚。
ジャケット、レコード盤、歌詞カードの衣装、すべて盛夏にふさわしい鮮やかなブルー一色で統一し、レーベルにもジャケットと同じイラストを使用するという粋な計らいも…。
全編にわたって、８０年代を感じさせるポップでさわやかなメロディー、"ナイアガラ・サウンド"を彷彿とさせるアレンジ、どれをとっても非の打ちどころがなく、珠玉の名曲揃い。
今もこのアルバムを聴くことが出来ないファンも多く、ＣＤ化の声が高いアルバム。
著作権が複雑に絡んだこのアルバムは、同じ状態でのＣＤ化は絶望的で、レコードでしか聴くことが出来ない１枚。
ベスト盤などにも収録されておらず、レコードで聴く以外に方法のない『アデュー』『今夜の靴は踏みはずして』、前の記事で紹介した『あなたからＦ.Ｏ.』のオリジナル版、そしてベスト盤に収録されてはいるものの、すでに廃盤になっているために、事実上ＣＤの音源で聴くことが困難な『愛を急がずに』…。
デビュー５周年記念にリリースされた名盤であるのに、あまりに不遇な運命に心痛めることしきり…。
"不評だったアルバム『風の予感』の答え" と捉えるファンが多かったアルバムですが、実はあまり知られていない逸話が…。
このアルバムのために聖子さんが用意した楽曲は、全てボツになり、改めて全曲創り直しになったこと。
改めて創り直された曲は、他の作家陣によるもので、乙女チックなラヴストーリーを思わせるフレーズも…。
当初聖子さんは、５年目の自分の想いを曲に込め、今までの道のり、これからの歩むべき自分の姿を投影した曲創りをしたのですが、レコード会社の意向と合わず…。
この後にリリースされるアルバム『Ｐｏｔｅｎｔｉａｌ』で、「もしかしたら『ＩＮＧＥＮＵＥ』のために書かれた曲…？」と思える作品がいくつか…。
ボツになった作品を、そのままお蔵入りにさせてしまうほど素直な性格でもなく、聖子さんなりの意地も見え隠れし、この時期の聖子さんとレコード会社の関係を示唆するようで…。
『あなたからＦ.Ｏ.』以外の楽曲はステージで唄うこともほとんどなく、人気の高さと裏腹な、聖子さんのこのアルバムへの想い。
聖子さんにとっては、"創らされたアルバム" だったのかも知れないけれど、ファンにとっては大切な想い出、大切な宝物のひとつ。
忘れることのない、１９８４年の夏…。
歌手としての自負と会社との軋轢と‥
この時期、何を思いながら歌ってたのでしょうね‥？
不思議に思うのは、作らされた物が売れてるって事でしょうか？
こういう時、歌手としての自分に自信を無くしてしまわないのでしょうか？
今日、ブログから聖子さんの歌を聴かせて貰いました。
力は有るのに、それが認めて貰えないという時のストレスは相当だと思います。
上手く言えませんが‥
by orionjp (2008-08-16 20:55)
我が家にもドーナツ版があるのですが
プレイヤーがないので聴くことが出来ない
けれど青春の宝物です[ぴかぴか][かわいい][ぴかぴか][かわいい]
by 退会済み (2008-08-16 23:18)
なかなか難しい問題を含んでいるのですね。
聖子さんとしては
複雑な気持ちの1枚かもしれないですね？[嬉しい顔]
by けんけん (2008-08-16 23:32)
ジャケットのイラスト、昔見覚えあるんですよ～[手（チョキ）]
やはり、当時流行ってたイラストだったんですね[ひらめき]
vegaさんの記事で以前このイラストを見た時に、
「アレッ[!?]」
っと思ったんですよ～～～[手（チョキ）]
by ばんばらばん (2008-08-17 00:18)
オリオンさん
"紆余曲折していた時代" と、この時期のことを聖子さんはよくおっしゃります。
敷かれたレールの上を走っていただけ…とも。
ただ、その状況に疑問を持ち、自分らしさを取り戻そうともがき苦しんだからこそ、今があるのだと思います。
by vega (2008-08-17 00:35)
ド☆キンちゃん
[ハート]ありがとうございます。
by vega (2008-08-17 00:35)
星みのりさん
幸いにして、我が家のレコードプレーヤーは健在です。
ただ、活躍の場はわずかで…。
by vega (2008-08-17 00:37)
けんけんさん
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聖子さんとしては
複雑な気持ちの1枚かもしれないですね？
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自分の作品が"ダメ出し"を食らって、総とっかえになったのですから…
更にファンの反応が良ければ、複雑な心境だったと思います…。
by vega (2008-08-17 00:42)
ばんばらばんちゃん
見覚えありますか？[ぴかぴか][目][ぴかぴか]
もう２５年も前の物なんですけどね…[飛び散る汗]
歳が…。[汗]
このイラストは、このアルバムのために書き下ろされたのか、すでに商品化されていたイラストだったのか…
当時このイラストの商品を探しましたが、見つからず…。
結局わからずじまいでした。
by vega (2008-08-17 00:54)
今回の内容も、ずしっと重く、じっくりとvegaさんの想いを読ませていただきました[嬉しい顔][複数のハート]
自分の書いた曲が、そのまま出されるとは限らないのですね。
なかなか大変な世界ですね。。。
でも、その後、少しづつでも、ご自分の作品が、何かの形で、表現、ファンの方の前に登場できるとは・・・・
しかし、それらは、お蔵入りしているものもあるんでしょうね。。。
このレコード、ブルーの色素敵ですね[揺れるハート]
イラストの絵・・・・が、なんだか見覚えあるのですが、かなり記憶は遠いですし、幼かったので＾＾；
by emi(*paris.p.p) (2008-08-17 01:33)
カラーレコード懐かしい～。
詳しいことはわかりませんが、CD化されないのは残念ですね。
by neopon (2008-08-17 01:45)
このイラスト、イルカさんでも使われていたイラストと
なんとなく似ている気がしますが…。
聖子さんのナイアガラサウンドとは、興味深い[ひらめき]
by 退会済み (2008-08-17 07:58)
青いレコード盤、新鮮ですね[嬉しい顔]
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レコード会社の意向と合わず…。
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アーティストとして、最も辛いジレンマですね。
by decobo (2008-08-17 08:20)
白夜のふくろうさん
[ハート]ありがとうございます。
by vega (2008-08-17 09:46)
和茶さん
[ハート]有り難うございます。
by vega (2008-08-17 09:47)
とらぐぅさん
[ハート]どうもありがとうございます。
by vega (2008-08-17 09:47)
emi*parisさん
アルバムなりシングルなり、新譜を出す際には、製作サイドからある程度の方針、コンセプトが事前に伝えられて、それをアーティストが自分の中で練り上げて、曲を創りだす…。
と、一般的には思われがちですが…
必ずしも、そうではありません。
レコード会社から、一方的に押し付けられることも珍しいことではありません。
一流アーティストですら、作られたイメージ、自分の意志とは違う音楽を演っていることも…。
この時期の聖子さんは、明らかにこのパターンでした。
生き残っていくためには、好きな音楽を続けていくためには、どうしても受け入れなければならない現実も…。
辛い時期だったはずです。
by vega (2008-08-17 09:57)
neoponさん
聴きたくても、聴く方法が閉ざされている…。
哀しい現実です。
by vega (2008-08-17 10:10)
24時間テレビさん
イルカさんのイラストは、イルカさん直筆の物でしょう。[ペン]
イルカさんは、「ノエルちゃん」というキャラクターのアニメや絵本を創られていますので…。[本][ＴＶ]
by vega (2008-08-17 10:13)
decoboさん
"敷かれたレール"
この言葉の意味は、深いです…。
by vega (2008-08-17 10:15)
あっ、イルカさんは、ご自身で書いてたんですね[アート][OK]
by 退会済み (2008-08-17 19:13)
goma1113さん
souTHEndさん
ヒサさん
Tashaさん
yamaさん
ＦＯＺＺＹさん
youさん
くどくどと長い記事を読んでいただき、有難うございます。
そして、[ハート]をありがとうございます。
by vega (2008-08-18 20:52)
店でみたことがありません。めぐり合わせが導かれてなかったです。あみんが流行したころでしょうか。残念。
by 9000系 (2008-08-19 22:03)
タッシーさん
[ハート]ありがとうございます。
by vega (2008-08-19 22:05)
9000系さん
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店でみたことがありません
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それだけ売れていたのでしょう。
今は、中古レコード店でよく見かけます…。[汗]
いたたまれなくて、連れて帰ってきた『ＩＮＧＥＮＵＥ』は何枚あるのか…。[飛び散る汗]
by vega (2008-08-19 22:10)
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全編にわたって、８０年代を感じさせるポップでさわやかなメロディー、"ナイアガラ・サウンド"を彷彿とさせるアレンジ、どれをとっても非の打ちどころがなく、珠玉の名曲揃い。
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ナイアガラサウンド[ぴかぴか]大好きです[揺れるハート]
聴いてみたいですネ[嬉しい顔]
いつの時代もアーティストとレコード会社との摩擦は絶えないものですネ、そのためにどれほどの才能が埋もれていったことか…[悲しい顔]
by boba (2008-08-19 22:35)
このカセット、寮暮らしの頃、同室のヤツが持っていたのを覚えています。
休日は一日中何かしら聴いている聖子ファンでした。
おかげで、ワタシも「走ってください」を覚えたのですが・・・。
by narumpet (2008-08-19 22:47)
bobaさん
売らなければいけない立場、自分のやりたいことを求める立場…
なかなか一致することは難しいのでしょうね…。
by vega (2008-08-19 23:27)
narumpetさん
カセットテープに目がとまるとは、意外でした。[嬉しい顔]
その方は、もう聖子さんのことは忘れてしまったのでしょうか…？
それとも、時々聴いているのか…。
by vega (2008-08-19 23:30)
まだＣＤの無い時代。ビンボー寮生にステレオなんて高価なものがあるわけも無く、カセットテープオンリーの時代でした。
ヤツ、どーしてるかなー・・・
by narumpet (2008-08-20 00:28)
カラーレコード、ウチにもあります。
黄色のものと、白いものをみました。
同じ頃のものかもしれません(^^)
by ぽわぽわ (2008-08-20 16:53)
ぽわぽわさん
夢があります…カラーレコードは…。
ＣＤと違い、ぬくもりを感じます。
by vega (2008-08-20 21:37)
ひもなしパンツさん
[ハート]どもありがと。
by vega (2008-08-30 19:51)
はじめまして。このアルバムのためにレーザーターーテーブルを買ってしまおうかと思ったくらいでした。でもカラーレコードは音を拾えないことを最近知りました。あと、ライブで「愛を急がずに」のイントロを聴いたときは、気が遠くなるくらい感動しましたよ。
by アルキメデンディスト (2010-12-03 00:27)
昨日の大阪knaveの「アイドル編(ほかの作詞家さんからいただいた曲編）」のライブでは、このアルバムから2曲も歌ってくださって、感動しました。カラーレコード、持っていました。このページを見て、遅ればせながらボツの事情があったことを知りました。たしかに、ご本人の気持ちは複雑ですね。今日のシンガーソングライター編（自身の作品編）であなたからF.O.を歌ってくださるかも。しれません。楽しみです。
by 辻岡 (2018-12-09 12:54)